『ティファニーで朝食を』トルーマン・カポーティ (著), 村上春樹 (翻訳)
美しかった。
通勤電車の中で読むには大きくて重かったけど、今自分がどこにいるのかも分からなくなるくらいに、1ページごと、1センテンスごと、私の心をドキドキさせ、熱く掴んで離さなかった。
野生の生き物に深い愛情を抱いたりしちゃいけない。心を注げば注ぐほど、相手は回復していくの。そしてすっかり元気になって、森の中に逃げ込んでしまう。
空を見上げている方が、空の上で暮らすよりはずっといいのよ。空なんてただからっぽで、だだっ広いだけ。そこは雷鳴がとどろき、ものごとが消え失せていく場所なの。