私は名家の育ちでも何でもないですが、細々と京都人のDNAを引き継いでいます。黒船来航より前からの記録も残ってはいますが、杉本家みたいに重要文化財に指定されている京町家ではなく、傷んだ木をベニヤで補強し、飾り井戸の上に植木鉢を並べるぐらいにワイルドな下町育ちでございます。
突然ですが「おばんざい」について。
おばんざいは、京都の家庭で出す質素なおかず全般をさします。煮物が多いです。京都では煮物全般を「炊いたん」といいます。特別じゃないものに対していちいち名前をつけないというか。その日にある材料を煮込みます。おばんざいは家の者が食べる質素なおかずで、お客さまにお出しするものではありません。失礼ですからね。
「おばんざい」という言葉が一人歩きして「おばんざい」を銘打ったお店もあり、それはそれでいわゆるおふくろの味でいいのですが、京都人には「京町家でおばんざいを出すお店」=実家でええやん!です。料亭で「おばんざい下さい」なんて言った日にはお店の方が涙を流すかもしれません。