はじめての栃木県、はじめてのスノーシューハイクは、晴天。
映画『ヒマラヤ運命の山』を観てから雪の世界に憧れていた私。弟を失い、自分もほとんどの足の指を失うのだけど、映画を観ながら、登山中の空気がどんどん薄くなっていくあの感覚を思い出し、映画の彼は死の淵にいて、そんな彼を思い、うっとりした。
もちろん死にたくはないのだけど。
店員さんに「雪山はお薦めですよー!」と言われ、でも死ぬのはこわいなと思っていたら、スノーシューというものを履いて、雪山をハイキングする世界があることを教えてもらった。スノーシューは西洋のカンジキのようなもの。これを履くと雪の上をサクサクと歩くことができるらしい。
キツネの足跡。他にもノネズミの足跡なんかもあった。ちらっと鹿の親子を見た。
鹿に食べられた黄檗。「漢方にも使われている『黄檗』のことですよ」と教わり、私も木片をご相伴。苦い木の味がした。そういえば、好奇心にかられて近所の草や木をこそっと食べていたな。今も、たまに。
サクサクサクサク、いつもの地上を歩くように、雪の上をサクサクサクサク。
でも空気はいつもの地上よりずっと美味しい。また歩きたい。