
『世界は村上春樹をどう読むか』柴田 元幸, 藤井 省三, 沼野 充義, 四方田 犬彦, 国際交流基金
17カ国23人の翻訳家、作家、研究者が一同に会し、村上春樹作品について熱く語りあったシンポジウムの記録。本全体から村上春樹を愛する心と、プロフェッショナルとしての冷静な分析、会場の熱気が伝わってきました。
2005年の段階において40カ国近くで翻訳・出版されているそうです。このシンポジウムではその中から23人の翻訳家が来日し、自国での評判や数値的なデータ、翻訳するきっかけ、村上作品についての文学論あるいは政治的見解を日本語で討論していました。ワークショップでは『スパナ』『夜のくもざる』をそれぞれが翻訳したり、各国の表紙デザインについて各々述べたり。
リチャード・パワーズの基調講演などはもう、必読です。
四方田さんの最後の発言は私にはちょっと違和感がありました。あとがきとのバランスとはいえ、内容が突然すぎる・・・と思いつつ、全体的にとてもよく構成されていました。
すなわち、直子による井戸の描写は、ワタナベの鏡像的な参入を引き起こすのです。直子が思い描く像が、ワタナベにとっての現実の草原に融合し、草原を変えてしまう。問題の井戸が実際にどこにあるのかは「誰にもわからない」けれど、直子が思い描いたものの計り知れない深さと暗さが、ワタナベにとっても、あたかも自分がそのなかに落ちたかのようにその細部まで生々しいものとなるのです。そしてある意味では、本当に落ちたとも言えます ー 心のなかの鏡の世界で。
【コネタ】
「非常村上(フエイチヤンツンシヤン)」すっごくムラカミ
「絶対村上(チユエトエイツンシヤン)」ばっちりムラカミ
「不■村上(プーコウツンシヤン)」いまいちムラカミじゃない



