そこに太陽があるだけで、暖かくなるように、楽しくなるように、優しくなるように。 毎日が日曜日、毎日が夏休み。そんな人に、私はなりたい。
東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

最後まで読んでみて、やはり涙は出なかった。私が育ってきた環境と違いすぎるからだろうか。一筋の涙も出ず、小説の世界との距離感を感じるのは、私が両親を、父と母である以上に一人の男と女として見ているからだろうか。
父にとっての家族は華族であり、母にとっての家族は下属である。
いつしか働くことをやめてしまった父。6人兄弟の4番目に生まれた長男。跡取に大事があってはいけないからと雨の日は学校を休まされていたらしい。家も余ってたので食べ物も余っていたのだろう。父も余っていたのかもしれない。大人になった父は、地位も名誉も金も欲することなく、ただ植物のように、ひっそりと生きている。
クリスチャンである母。金銭に頭脳に愛に、いわゆる恵まれた家庭に育ったが故か、ただ天職を、ただ向学を、ただ奉仕を求めている。職場にいる母はいつも楽しそうで、家庭にいる母は不幸な生活を嘆くことで要領の良すぎる自分を癒していた。母は言った、「高校を卒業するまでは我慢して家にいなさい。あんたの事は憎いほど分かる」。
自分の中に流れる父の血、母の血を感じながら、早く新しい家族を作ろうと思っていた。
読後の感想。
読みながら自分と母との関係、父との関係、祖母との関係、祖父との関係、名前を覚えきれないまま逝ってしまった祖父母、名前を覚えきれない親戚たち、忘れてしまった友人たち、そして私の大切な夫と息子との関係を、繰り返し繰り返し考えてしまった。
羨ましい。
そんな本。
***
「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」
リリー・フランキー

1件のコメント

  1. 東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

    あいあい。どもども。みなさまいかがお過ごし? ところで、みなさま最近ハマってる事…

    アメリカデザイン日記 ver2.0 typeMT

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