女ごころ

「女ごころ」
サマセット・モーム 著 / 竜口 直太郎 訳
美貌の誉れ高い未亡人のメアリィ・パントンと、彼女を愛する男達の話。
実に合点がいく。とにかく退屈するわけにいかない。伸るか反るか、この男と過ごすことでどれほど心が高揚するか、それが大事なのだ。何故なら、私は女だから。

心臓を貫かれて

「心臓を貫かれて」
マイケル ギルモア 著 / 村上 春樹 訳

『ある種の精神の傷は、一定のポイントを越えてしまえば、人間にとって治癒不可能なものになる。それはもはや傷として完結するしかないのだ』ということを、僕は理解できたような気がする。頭によってではなく、皮膚によって。理論としてではなく、ひとつの深いリアルな実感として。(訳者あとがき)

自ら銃殺刑を求めた殺人犯ゲイリー・ギルモアの実の弟マイケルが、家族の絆を綴るノンフィクション。
おそらく魂の再生を求めるために、血塗られた家族の歴史を紐解いて行くギルモア。子供は天の恵みであり、邪魔者であり、家族の絆であり、呪いそのものでもある。“もう何も良くなんかならない。もう何も良くなんかならない”マイケル・ギルモアの最後に出たこの言葉が、私には辛かった。
1月の読書はちょっとハード。

アフターダーク

『アフターダーク』村上春樹
深海の巨大なタコ、はんぺんを食べる子猫。
裁くもの、裁かれるもの、求めるもの、与えるもの。
何かを強く思い出すこと、あちら側を受け止めること。
誰かと真剣に語ること、きつくきつく抱きしめること。
読み終えてから、どんどん涙が出てくる、
これは、私にとって、とてもとても大切な本だ。

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